ムカデlog

ヒーリング・ネットワークに参加、山口県を中心に活動している記録です。

動きの質

 NPO法人ヒーリング・ネットワークの公式ウェブサイトで公開された記事中に、高木一行先生の近況が触れられています。

 刑務所の中でもヒーリング・アーツを実践されていて、同房の人々も興味を持って実践している様子が伝えられました。

healing-network.or.jp

 

 そういえば以前にも、奥様の高木美佳先生の管理されていた<女神ネットワーク>というサイトのブログ記事で、刑務所の運動の時間に高木先生が龍宮拳や肥田式強健術を実践していたら、それを見かけた人に声をかけられたり、教えてほしいと頼まれたりしたという内容のものもありましたね。

女神ネットワーク

mikatakaki.hatenablog.com

 

  しかしまあ、実際に高木先生の修練の動きを目にしたら、少なくとも「それは一体なんなんですか!?」と訊ねたくもなるだろうなあ、と。

 あるレベル以上の、自分が行なっているものやその延長線上のものとは隔絶した動きというのは、その運動自体を知らなくても「何だこれ、違うぞ!?」という強烈な違いを与えるのだと思うのです。

 

 今から20年以上前の高校生時代の話ですが。

 私は高木先生の著作で肥田式強健術の存在を知り、その内容に強く惹かれて本の図や写真を見ながら自宅であれこれと実践することになったのですが、独学なので大して効果がなかったというのとは別に、動きのリズムもテンポも雰囲気も、ある姿勢からある姿勢へと移る過程の動きがどういう感じになるか、とにかく全く見当もつかなかったのは困りました。

 さすがにいつまでも本だけで独習するわけはいかぬと、大学に入って最初の夏休みに大阪開催された高木先生の肥田式強健術のセミナーに参加したのが、教えを受けた一番最初の機会であったと思います。

 

 さて、参加した当時のことを思い出しつつ、実際に学べた感想はというと、

 全くわからない。

 そういうありさまでした。

 

 ちょっと考えてみていただきたいのですが、――山陰の田舎で運動が苦手で武道といえば小学校低学年時に地域の剣道道場を2年余通ったっきり、高学年からはサッカー(全校生徒数が少ないので強制)、中学時代の部活は卓球(同じく生徒数が少なく陸上か卓球の強制二択)、もともと得意でもない上にそこで運動の下手なやつと上手いやつの関係性が全く変わらず終止苦手で面白さも全く分からず、高校に入ってからやっと強制でなくなったのでもう絶対に運動系の部活はすまいと文化部に入った人間が、マンガや小説から興味を持って文字や写真だけで武道や武術を調べだし、そして大学生になってからようやくちゃんと学ぼうと2日間のセミナーやってきた――そんな人間に何が分かるというのか、と。

 

 あまりのすごさに感動したとか。

 なにか先生に言われたひとことにビビッときたとか。

 

 そういうことは全くなかったです。

 分かるだけの素養も知識も感受性も経験も全く、本当に全くなかったのですから。

 

 ただ、なんだか不思議だしすごい、何か違う――――というような気がする、ということだけは感じました。

 

 いや、自覚の全くない部分で何かは強烈に受け取ったのだと思います。

 というのも、高木先生は東京、大阪、広島などで強健術や武術や気功のセミナーを開催されていて、九州の大学生だった私には交通宿泊費とセミナー参加費は決して気軽に出せる額ではありませんでしたが、いつの間にか3ヶ月~4ヶ月バイトしてお金が貯まっては参加するようになったのですから。

 

 今になって思い出すのは、全く何も分からないなりに何故か「これには自分を変える何かがある」と感じていたこと、そして惹き込まれていたことですね。

 ド素人でも受け取る大きな何かがあったのだと思います。

 

 

 何年も練修に取り組んでいくと、ようやくだんだんと高木先生の強健術のどこがすごいと具体的に分かるようになったのですが、一方では、自分自身が強健術を行なうことでそのすごさを実感できるようになる日が来るというのは想像もつかなかったものです。

 まさかその自分が、強健術のイベント企画を開催したりする日が来るとは‥‥と、ここ数年の自分の活動を振り返ると、我ながら衝撃的ではあります。

 

 

※高木先生が肥田式に関して唯一公開している腹胸式呼吸法の動画

youtu.be